板東教授の
 映像生体影響講座

◇ストレス状態と脳活動 その8


●私たちの身体は、周りの環境から種々の影響を受け、そのために状態が常に変動していますが、沢山の反射系がうまくコントロールされ、自動的に変動が正常範囲に収まるような仕組みになっています。いろいろな原因で、自律神経系の反射がうまく働かなくなると、身体の状態の揺れが大きくなり、身体の機能が低くなったり、高くなりすぎたりして、うまく調節できなくなります。機能が低くなれば、正常の活動ができなくなりますし、高くなりすぎると、身体の負担が増えて、長期的には健康に障害がでやすくなります。
 身体の状態の微妙な変化を知る方法として「負荷試験」と呼ばれる方法があります。たとえば、心電図を測定するときに使う「負荷心電図」はこの1つです。普段は異常はなくても、少し激しい運動をすると狭心症を起こす可能性のある人がいますので、ほどほどの運動をして貰ったときの心電図の変化からリスクを評価する方法です。
 同じようなロジックで、何か刺激を加えて、その結果、身体の状態がどの程度安定に保たれるかを知ることにより、身体のシステムがうまく働いているかどうかを知ることができると考えられます。
 私たちはこれまで映像酔い評価システムを開発してきましたが、このシステムを身体の安定性を調べるためのテスト系として使い、安全な範囲ではあるが、少し強めの刺激を加えて、身体の復元力を測る方法を開発することを目指しています。
 心拍数や血圧などを毎日、測定して健康状態を管理することは以前から行われていますし、いろいろな新しい工夫がされ、それを検証するフィールドワークも行われています。これらの試みも大切ですが、私たちのフィージビリティスタディは、軽い負荷を生体に与えることにより、その安定性を見るという点で、他のプロジェクトとは大きな相違があります。新しい方式には、負荷の与え方にノウハウと工夫が必要ですが、個人差や日々の体調の変動などを低く抑えて有効なデータが得らるという大きな利点があります。さらに毎日測ることにより安定な健康データが得られます。
●この仮説を支持する実験については、この前に述べました。瞳孔反射系と血圧反射系について、高齢者を被験者として生体の恒常性について、瞳孔の光反射と血圧反射について調べました。
  50歳以上の被験者について、健常群と高血圧群に分けて比べますと、映像を15分間、見るような軽い負荷を加えた場合でも、その後で、高血圧群では反射の揺れが有意に大きくなっていました。