板東教授の
 映像生体影響講座

◇ストレス状態と脳活動 その7

●以上をまとめると、右図のようになります。
 環境に適応して、快適な生活を送るために、私たちは高い学習能力を持っています。ストレス状態は学習のきっかけとして大切ですが、ストレス状態が長く続くと身体への負担が過剰になり、体調を崩します。
 現代の社会では価値観の変換、社会環境の変化などが重なり、社会構成員の間のコミュニケーションがうまくゆかないと言われており、このような葛藤がストレッサーとなり、多くの人が健康を害しています。早めにストレス状態を評価して、その対策を立てる必要があります。
 ストレス状態を測るための心理学的な方法も工夫されていますが、もっと直接的にストレス状態が身体に反映されていないかどうかを評価して、対策を立てることが望まれます。
●ストレッサーによる生体応答についてはセリエの説が通用しています。外の世界から刺激が加わると、大脳辺縁系が活動します。特に大脳辺縁系の中には、視床下部という自律神経系の中枢があります。ここを介して、種々の変化が自律神経やホルモン系を仲介して引き起こされ、身体の緊張状態が決まります。私たちは大脳で生きていると思っているのですが、身体の状態は自律神経系が支配しており、自律機能がきちんと機能しないと、大脳も正常に働かなくなります。
 大脳辺系は古くから本能に関係すると考えられてきた脳の構造で、視床下部、扁桃体、海馬などを含みます。扁桃体や海馬は記憶と関係の深い領域です。
 最近の研究成果をこの図に加えると、私たちの行動の妥当性などの評価には脳幹にある縫線核、前脳核や大脳基底核などの「報酬系」(報酬予測、報酬評価など)と呼ばれる部分が大きな役割を果たしていると考えられます。
 このような脳の活動の全体は自律神経系の活動に反映されています。自律機能を反映する適切な指標を如何に選び、どのように評価するのかが、問題となります。