板東教授の
 映像生体影響講座

◇ストレス状態と脳活動 その5

●さて本題に戻りますと、外界そのままでなく、脳で処理した結果を使うことには多くの利点があります。視覚で扱う映像は膨大な容量を持ちます。まともに処理すると大きな計算容量が必要で、また時間がかかります。脳の容量には限界があるために、迅速な処理を行うためには、工夫が必要です。
 迅速に処理するための1つの手段は、鋳型(テンプレイト)を用意し、見ているものがこの鋳型に合うかどうかを判断することにより、細かい観察を省くことです。このような方法は実際に脳で行われていると考えられます。当然、間違うこともありますが、迅速な情報処理により、危険を回避できる方がこの不利を補って、生存に有利に働くと考えられます。当然のことですが、必要な場合には、時間をかけて細かい観察を行い、正確な情報処理を行うことができます。
●別の例をあげます。例えば、ドアの取っ手を握る時に、見るだけでドアの取っ手の形に合った手の形をとります。サルでも、訓練すると同じことが起こります。これをpre-shapingと呼びますが、これには頭頂葉が大切な働きをします。頭頂葉のLIPと呼ばれる領域には、視覚情報と皮膚感覚情報が集まり、自分の周囲環境の情報が集約されます。ここで、処理された情報が前頭葉の運動領域に伝えられ、そこで、この運動が組織されると考えられています。この過程は学習を通じて確立されます。