板東教授の
 映像生体影響講座

◇ストレス状態と脳活動 その4

●脳は外界からの入力の計算処理を行いますが、ほとんどの場合は「記憶に蓄えられた過去の経験」を参照して結論を出します。こうすることにより、膨大な計算を省略し、迅速な処理が可能となります。場合により、好き・嫌いや楽しい・悩ましいなどの情動が大きく影響し、直列的な逐次計算による落とし穴を避けます。
●人類は大きな脳を発達させてきました。脳が大きくなった原因にはいくつかの議論がありますが、
 1.第一の要因は、二足歩行だとされています。
 2.二足歩行では、腕が歩行から解放され、掘り棒のようなものから始まり、次第に道具を作るようになった。
 3.道具製作の過程で次第に脳が発達した。道具を上手に使えるようになれば、獲物がとりやすくなり、特に肉が手にはいるようになった。
 4.発達した脳を維持するためには、栄養が必要で、肉が手に入るようになって、この条件が満たされた。
 5.これに伴って、群れた大きくなり、群れが効果的に活動するためには、高度のコミュニケーションが必要なった。このために、さらに脳が発達した。
というのが大まかなストーリーだと考えられます。
 脳が800-1000ccになったころに大きな変化がみられます。道具製作の面ではそれまでの成り行き的なものではなく、仕上げイメージを持って作った形跡が見られます。これよりは少し遅れ、脳容量が現代人と同じ1350cc程度になると、オーカーのようにボディペインティングに使ったと思われるものが遺跡から見出されます。さらに、アクセサリー類や洞窟の壁画のように、宗教的・芸術的な作品が発見されるようになります。この時代には、私たちは、現実に存在しない抽象的なものを思い描き、視覚化することも可能になったと思われます。この中では、言語機能の発達が大きな役割を果たしたと言われています。
 私たちはこのような発達した脳を効率的に活用して、この20万年間にわたって、環境に適応してきました。現在、人類は人工的な世界を作り上げ、その中で暮らすことになってしまいました。この人工的な世界は、年々、私たちが慣れ親しんできた自然環境から離れたものとなってきており、これまでに培った直感では生活し難くなってきました。



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